「議案第94号狭山市公平委員会委員の選出について」の反対討論

私はこの公平委員会委員の選出に不同意する立場で討論を行います。

私が不同意なのは、この同意を求められている委員が、先の公平委員会に処分の取り消しを求める請求において、処分取り消しを裁決した公平委員会の委員であったことが主な理由です。

 私はこの討論をするにあたり、情報公開条例を用い、裁決書ならびに公平委員会会議録を読みました。そして、どうしてもこの処分取り消しの裁決が妥当であるとは思えませんでした。まず、懲戒処分の理由は「主治医の診断書を元に海外旅行の申し出を行った際に、上司から病気休暇中の海外旅行については認められない旨の指示を受けたにもかかわらず、海外旅行した行為は、上司の職務命令に違反すると、社会通念に照らし容認できる範囲ではなく、地方公務員法第33条の信用失墜行為の禁止条項に違反するといわざるを得ない。よって地方公務員法第29条第1項第3号に規定する全体の奉仕者としてふさわしくない非行に該当し、その責任は免れない」というものです。裁決書を見ると、争点の判断において、いくつかの点で私には納得のいかない点があります。まず、公平委員会は(1)において、この申請者の医師の判断で海外旅行があたかも治療として認めたかのように判断し、これが治療でないことを処分者の消防長に証明するようにというのですが、平成20年9月16日の公平委員会会議での会議録を読むと、主治医は「同じ悩みを持つ人と話す事は効果があるだろう」と話した事は認めているが、その際、「何処何処へ行きなさい」と渡航を勧めたという事実は否定しています。公平委員会は申請者が疾病の治療行為として海外に行こうとしたというのが明らかだと断定するのですが、この渡航が医師の指示による治療行為の一貫であったとは主治医が認めていない以上、海外での治療行為そのものを認めることをこの判断の前提には出来ないと私は考えます。

 その他、「医学的専門家である医師の判断として疾病の療養を目的とする行為は客観的判断に基づく行為であり、海外に行く事のみを持って、社会一般的には認められないとする判断に合理性がないとする」公平委員会の判断にも納得できないものがあります。社会一般的には治療とは、海外といえども、療養地や病院などを想起するであろうと思います。また、ある公平委員は「この職員の渡航のもうひとつの目的がその地を訪れることが思料される」とまで言っているのです。すなわち、単なる海外観光旅行だったのではないかというのです。

 私はもう、ひとつひとつ納得いかない点をあげつらう事はいたしません。ただ、会議録を読んだ限りにおいて、私はこの処分取り消しをした公平委員会の裁決が正しかったとは思えません。

 一般的に言って、治療に専念している人が医師からの明確な渡航による治療指示もないまま、遠く海外に5日間という短い期間において強行な日程をこなす事が有効な治療だったと認定することが公務員として正しい行為には思えません。すなわち、病気療養しているはずの狭山市職員が海外旅行に出かけていれば、一般市民は公務員にたいして戸惑いと不信感しか持ち得なのではないでしょうか。

 こういう一般市民の目に対して、所属長が職員に注意を喚起する事は当たり前の事だと思いますし、この観点からの議論が深められない状態での公平委員会の委員構成では、真実の意味での公平はありえないと思うのです。よって、私はこの選定には同意できません。

以上です。