こどもを産廃跡地の里山保全事業に使うのは反対です。


ダイオキシンで汚染されたところでの子供を使った里山再生事業には反対します。

  9月13日、狭山市は産業廃棄物処理場3000m2を購入した。この場所での産業廃棄物の焼却をやめさせ、くぬぎ山を里山(平地林)として再生させるのが目的である。私はこの目的には全面的に賛成ですが、次のような計画には、反対です。 その計画では、今後購入した土地のうち、2000m2を3つのゾーンに分け、1つ目のゾーンに根株を移植、2つ目のゾーンを実生ゾーンとして、どんぐりなどの種を撒き、子供達に自然体験をして貰う、3つ目のゾーンは表土をそのまま残し、自然の発芽を待つ、とした。

 私は、この計画には大きな疑問を持つ。それは、この計画の中でこの場所のダイオキシンに対する土壌の再生について述べられていないからである。ここを購入するにあたり、狭山市は1箇所、この場所で土壌のダイオキシン濃度を検査した。その結果は表面で110pg(ピコグラム)、地下1メートルで94pgであった。これは確かに日本の環境基準の1000pgに比べれば低い。しかし、ドイツの基準では、100pg以上ダイオキシンのある場所には子供を入れないということになっている。環境庁が平成12年3月10日発表した“「子供の遊び場」のダイオキシン類実態調査結果について”を見ても、子供の遊び場のダイオキシン濃度は平均で0.91pgであった。

上記の結果を見て、平均に比べ何倍ものダイオキシンが検出され(日本の土壌の平均ダイオキシン濃度は20から30pgといわれている)、他の遊び場に比べ100倍以上のダイオキシンのある産業廃棄物焼却場があった場所で、自らの子供を自然体験学習させたいと思う親がいるだろうか。ダイオキシンの耐用一日摂取量は4pgとされているのである。少しでもここの土が体に入れば危険なのだ。ダイオキシンは、消化管、皮膚及び肺から吸収される。ダイオキシン類は肝臓や脂肪に多く蓄積され、それが半減するのに10年近くかかるといわれている。女子の場合、蓄積されたダイオキシンは母乳を通して新生児に移行する。子供へのダイオキシンの毒性は、大人に比べとても大きいといわれている。

 ちなみにダイオキシンの毒性については、環境庁から平成11年6月に発表された「ダイオキシンの耐容-日摂取量(TDI)について」で詳しく述べられている。ダイオキシンによる被害として、男女共に全癌での死亡率の上昇や塩素挫傷が挙げられ、塩素挫傷は特に子供に多かった。また、出生が女子に偏った例も報告されている。毒性実験の結果では、ダイオキシンの発がん性、肝毒性、免疫毒性、生殖毒性(子供の口蓋裂、水腎症)、生殖器への影響(生殖器の形態異常、精子の減数など)が顕著である。私は学校の用務員をしていたある人から、毎日焼却灰の処理をしていた用務員数人が原因不明の症状で相次いで亡くなったということを聞いている。その時に、彼女はダイオキシンとの因果関係はどうだったのだろうかと心配していた。調べたある文献にはダイオキシンの毒性はあのサリン以上だと書いてあった

 私は、今ある焼却炉(中の焼却灰のダイオキシン濃度はきわめて高いはずである。)の取り壊しの際のダイオキシンの飛散にも本当に怖いものを感じている。狭山市のこの焼却炉に残されている焼却灰のダイオキシン濃度はまだ測られていない。ある文献には、焼却灰中のダイオキシンが1000ng(1ナノグラム=1000pg)にも上る例を示している。狭山市はダイオキシンまたは焼却灰の飛散をさせずにどのように煙突を倒し、焼却炉を取り崩すのだろうか。焼却炉の取り壊しの際に、焼却灰がこぼれたら土壌がもっともっと汚染される。

狭山市は新しい土をいれて耕し、その上を10センチ程度覆土すると言っている。この土地を耕すのも、焼却炉を取り壊すのと同様かなり危険な作業だろう。作業が終わってからとはいえ、そんな危険な場所に子供を入れて本当に安全なのだろうか。私は、たとえどのように土壌を改良したとしても、子供の自然体験学習によってこの産廃跡の里山再生を試みるのは危険だと思う

自然体験の部分は関係者と良く話し合って決めると狭山市は言っている。ダイオキシンの被害は直ぐ出なくとも、後に出てきたりするとも言われている。特に子供には危険だといわれている。子供を危険な目に合わせる可能性が少しでもあるのならば、こんな場所での、この体験学習は止めるべきだと思う樹木はダイオキシンがあっても無くても生育する。この場所の再生事業としては、この産廃跡を閉鎖してそっとしておき、草木の生えるのを待つというのではいけないのだろうか。子供の自然体験学習の場は狭山市の場合、他にいくらでもあるのだから他ですればよい。

私は、子供を使うこの産廃跡地での里山再生事業の狭山市の計画には大反対です。