2005年12月議会一般質問原稿1回目

議長のお許しをいただきましたので、8番 高橋ブラクソン久美子が一般質問したいと思います。まず、障害者の完全参加と平等の実現を目指して

私は2年前、障害者の自立支援を求めて次のように話しました。

「マーチン・ルーサー・キング牧師は、有名な演説の中で「I have a dream 」と人々に語りかけ、白人、黒人などが人種を超えて仲よく暮らすことを主張しました。ジョン・レノンは「Imagine」の中ですべての民族が1つのように暮らすことを想像してみてくれと歌いました。
 私も夢を持っています。
 私の障害のある娘が、ほかの障害のない子どもたちと同じように 教育を受け、友達を得、就職し、人生を楽しみ、結婚をし、家庭を持ち、子どもを育て、幸せに生きることを夢見ています。私が天に召されるときには、彼女が幸せに暮らしていることを感謝して死んでいけることを夢見ています。障害のある人々が他の障害のない人と同じように、普通に人生を送ることができることを夢見ています。
 そして、私は日本の近い将来、普通に生きることが障害者に許される社会が実現し、障害者が健常者と障害を超えて仲よく暮らし、差別なく一つになって生きられる社会が普遍化し、私の夢が夢でなくなることを心から願っています。
  私がなぜ夢見るかと言えば、障害者の自立への道がよく見えないということによります。現実は、普通に暮らしていける道どころか、単に生きていく道すらよく見えないというのが娘の場合です。今、私は娘の将来について考えると不安で仕方ありません。だから、きょうを必死に生きているだけです。きっと障害者を子どもに持つ親は、私と同じ思いでいると思うのです。」

 

2年前と、私や障害者の子供を持つ親の気持ちは決して変わりませんが、現実には娘や障害者の状況にも変化を感じられないのが残念です。

 

しかし、私どもの実感とは別に、政府は「『障害者対策に関する真長期計画』-全員参加の社会作りを目指して」を策定し、教育、福祉、医療、労働等の分野において様々な取り組みをしていると言っております。文部省も平成13年1月「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)〜一人一人のニーズに応じた特別な支援の在り方について〜」をまとめ、平成13年10月に「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」を設置して検討を行い、平成15年3月に「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」を取りまとめ、柔軟で弾力的な制度の再構築、教員の専門性の向上と関係者・機関の連携による質の高い教育のためのシステムづくりを示しました。

 

そこで伺います。文部科学省は「これからの特殊教育は、障害のある児童生徒等の視点に立って一人一人のニーズを把握し、必要な支援を行うという考えに基づいて対応を図る必要がある。」との考えから特別支援教育システムづくりを進めているはずですが、

1)        狭山市の特別支援教育体制の構築に対する取り組みはどのようですか。特に、

                             あ)「個別教育支援計画の策定」の状況

                             い)「特別支援教育コーディネーターの設定」状況、役割とその現状

                             う)「交流及び共同学習の機会の充実」の現状

について、お伺いします。

 

また、全国特別支援教育推進連盟 の三浦和さんはホームページでの挨拶の中で次のように言っています。

 

「のぞましい特別支援教育の実現のためには、直接関与を深くする実施者や専門家だけでなく、障害のない児童生徒や その保護者、地域の多くの人達の支援により、障害児・者が安心して特別支援教育が受けられるようにすることも支援の方策として重要であります。より多くの 人たちが特別支援教育に関心を示し、参画し得るような体制の構築を深めていくことが、共生と協働を高揚させることにつながると思います。」

 

私も支援を必要とする児童、生徒が普通の学級に在籍し、支援学級に通うという状況が出てくるには、障害者以外の理解や支援なしには不可能ではないかと思います。それで、のぞましい特別支援教育に対する障害のない生徒、児童、その保護者への啓発と支援協力体制の状況はどうなっているか伺います。

 

これらの支援体制加え、特別支援教育に必須となるのは学校がバリアフリーである事です。私の知人の子供も市内への中学進学を断念せざるを得なかったケースがあります。それは、中学校がバリアフリーではなく、歩行が不自由では進学できなかったのが大きな原因でした。そこで次の2点を伺います。

 

      1) 学校(幼稚園を含む)の玄関のスロープ、障害者用トイレ、階段手すり、エレベーター設置の状況

     2) 今後の特に特殊学級のある学校の物理的バリアフリー化の計画

 

もう一点、今度はお願いしたいのですが、狭山市立の中学校たとえ1校でも入間川小学校並みのバリアフリー化をすすめ、足の不自由な生徒が養護学校に行かずとも特殊学級でも教育を受けられるようにしていただきたいのです。如何でしょうか。

社団法人日本筋ジストロフィー協会は政府への平成17年度予算要望事項の中で、普通学校おいて、

どこの学校も3階建て、4階建ての校舎になっております。足の不自由な患者児童生徒にとって階段は大きな障害です。特に教室移動の多い中学校生徒と親にとって階段は悩みの種です。普通学校でも自主的に行動できるようエレベーターの設置をお願いします。」

と、言っています。ただ、私は狭山市の場合、エレベーターだけが中学校のバリアフリー化に必要なのではなく、特殊学級のある西中学校東中学校などは車椅子移動がとても困難な箇所があり、学校の全体の実態をみて、バリアフリー化しなければならないと思います。費用は掛かるのは明らかですが、肢体不自由な生徒が特殊学級への進学ができない状況を解決していくのは、教育委員会としての責務だと思うのですが如何でしょうか。

 

障害者自立支援法が成立しました。先ほどから述べていますように、私は娘が自立できる事を心から願っております。ですから、支援費の1割を障害者がその能力によって払うことになっても構いません。かえって、知的障害者でも働いて応分の負担ができる所得を得る事になれば心から嬉しく思います。そういう社会になってもらいたいのです。そこで、伺いたいのは、この支援法に明記された「市町村の責務」による責務とは、実際にどのような事務事業を責任として担うことになるのかということです。新しく構築しなければならない機関や業務はどのようなものですか。

特に伺いますが、

1) たとえば、障害程度区分や支給要否決定に関する審査判定業務をおこなわせるため、市町村介護給付費などの支給に関する審査会を置くとしていますが、これに関してはどのような物と考えていますか。また、障害者程度区分や支給要否決定はどのように行われるのですか。

2)          様々な支援に対して給付費が払われますが、法律の中での業務に対して、狭山市はすべての支援の体制はどのようですか。

3)         この新しい体制の周知徹底はどのように行うのですか。(申請手続きに時間もかかり、今までより煩雑になるようですが)

4)        支援費のうち、障害者もそのサービスの量や所得に応じ、1割の負担となるが、どのような所得区分だとどれほどの負担になるのか。上限が設けられるとの事だが、どのようになるのか。

 

次に、この自立支援法による改革のねらいの1つは障害者がもっと「働ける社会」にすることで、「一般就労へ移行する事を目的とした事業を創設するなど、働く意欲と能力のある障害者が企業などで働けるよう、福祉側から支援すること」とされています。

狭山市議会では何年も前から多くの議員から障害者就労支援センターの設立の要望が出されておりました。昨年度になり、ようやく検討会が設置され、検討内容がまとめられました。しかし、今年になってなんら進展が見られた様子がありません。いつ、どんな障害者就労支援センターが設立されるのですか。その予定などをはっきり示していただきたいと思います。

 

私の考えとしては、当面場所を借りて市役所の中でセンターを開始し、出来れば西口再開発事業の商工ゾーンの中にこのセンターを作っていただきたい。そして、障害者福祉だけでなく商工関係者と連携をとりながら就労支援をしていただきたい。とかく、障害者の施設は利便性の悪い、人目につかない所に設置されがちですが、インクルージョンの考えを進めれば、政務調査費で視察せていただいた北海道伊達市のように、町のそこそこで障害者に会うのが自然のようになります。このことを考慮していただきたいが如何でしょうか。

 

2.        倫理の保持について

 

話の始めに、恥をさらすような事を言うのは、本当に嫌な思いですが、やはりそこから始めなければなりません。平成13年“市長室で恐喝か”という記事が新聞をにぎわしました。実際は市長応接室での事件のようでしたが、私達狭山市議会は市長に“道徳的責任を求める決議”をし、市長に反省を求めました。昨年は、横領した職員を懲戒免職にいたしました。議会はその報告を聞き、憮然とした思いをしたものです。

国においても職員の不祥事が続き、平成12年4月1日に国家公務員倫理法を施行し、様々な禁止行為を国家公務員倫理規定にもうけました。事業者を法人、その他の団体及び事業を行う個人と既定し、許認可等を受けて事業を行っている事業者及び個人、国からの補助金などの交付の対象となる事業者個人、立ち入り検査、検査又は観察の対象となる事業者など又は個人、他直接国と利害関係にある事業者や個人と国家公務員の一定の行為の禁止や制限が盛り込まれています。

 

たとえば、金銭などの贈与の禁止、供応接待の禁止、金銭の貸付を受けることの禁止、無償で物品などの貸付の禁止、無償でサービスの提供を受けることの禁止、未公開株式の譲り受け禁止、自己の費用を負担しても旅行やゴルフの禁止、会食の禁止など、細かい違反行為が示されそれに対する懲戒処分の種類も明確化されております。

 

自分とそれ以外関係者との関係を正常に維持するためには、公務員一人ひとりが「自分がきちんとしていればそれでいい」と言う問題ではなく、業務の倫理を明確にする必要があります。この業務の倫理を明確にすることは、禁止条項を作り懲罰をすること以上に、職員の自律性を重視し、順法精神にのっとった職員の育成により、問題発生そのものすら抑えられるのではないかと言われています。

 

順法精神ののっとるということを最近ではよくコンプライアンスと言う英語を使う場合が多くなったようです。倫理はただ職員の行動の基準を作ると言うだけではなくなりました。最近では暴力団による行政介入暴力などや市民の不当要求を退け、法律に則り毅然とした姿勢を示すねらいをも持った条例ですら倫理・コンプライアンス条例として各地に制定を見ております。

 

国家公務員倫理法では43条に地方公共団体でも職務に関わる倫理の保持のために必要な施策を講ずるよう努めなければならないとしております。多くの市町村で倫理条例を施行しております。県下でも倫理規定を設けている市町村も多いのが現状です。狭山市倫理条例の制定し、コンプライアンス宣言をすることについて、市長の考えをお聞きしたいと思います。

 

さて、その内容については、国の法律や規定、最近のコンプライアンス条例などを参考に作っていただきたいと思いますが、もう一点私には取り入れてほしい内容があります。それは、国家公務員法では規定されていますが、地方公務員法では規定されていない職員退職後の就職のことです。いわゆる5年間の天下り禁止と言われている問題です。この条項を狭山市の倫理条例に入れてほしいと思います。新潟県で官製談合が指摘された際、天下り職員による現職への圧力や影響力が問題とされました。記憶に新しい道路公団の不正入札に関しても、結局は官製談合であり、公務員の天下りが問題となりました。

 

今後、狭山市で、そんな事が起きてはいけません。団塊の世代が大量に退職する状況で、再雇用を希望する全員の雇用が難しい状況下では、いかなる事が起こらないと言う保障はありません。利害事業者との関係を意識的につよめて、将来の職場の確保をするという不届きなものが出てくる可能性だって否定はできないのではないでしょうか。そんなことも考えて、倫理条例にこの一項を加えてほしいと思います。

さて、もう一つ提案させてください。それは、週一回朝礼をしたら如何ですかということです。多くの企業は朝一番に「ありがとうございます」や社訓を唱和したりします。狭山市役所でも月曜日に5分間でも朝礼をし、市長のコンプライアンス宣言を唱和するというのは良い考えではないでしょうか。もっとチームとしての和が保てるようになるのではないでしょうか。職員個人として倫理を確立するだけでなく、職場一体として倫理を保っていく事が必要ですが、それを醸成するためのよい機会になると思います。この提案についても市長にお伺いいたします。