200612月議会一般質問原稿―1回目

1.文化行政  2.教育行政  3.入札 

議長のお許しをいただきましたので、8番高橋ブラクソン久美子が一般質問をさせていただきます。

1.    文化行政についてうかがいます。

狭山市は、昭和45年、第一次総合振興計画基本構想の作成し、将来都市構想として、「緑豊かな健康で明るい高度の生産性を有する都市」をめざしました。高度成長をすぎ、狭山市は工場誘致を積極的に行い、他の市と同様人口急増期を迎える事となり、新たな課題をかかえることになりました。そして、開発都市化以上に、市民から、生活環境整備や行政サービス、きめ細かな福祉行政を望む傾向が強くなりました。

それらの行政課題に対処し、新しい住みよい近代都市へと飛躍するために、昭和51年、基本構想を修正し、将来都市として、「緑と豊かな文化都市」を目指すことにしました。その中では、6つの大綱中の第4として、「教養を深め文化の向上を図るための施策」を重点施策としました。それまでも中央公民館、入間公民館、堀兼公民館、水富公民館、新狭山公民館などの建設はなされていました。しかし、51年に修正されたこの重点施策にそって、他の4公民館が建設され、市民総合体育館、市民会館が建設されました。

昭和61年、第2次基本構想では、「緑と健康で豊かな文化都市」をめざしました。第四の重点施策として、「文化の香り高い人間性豊かなまちつくり」をめざし、文化施設の整備や充実、きめ細やかな文化施策を展開することにしました。図書館を作り直し、狭山台館も建設しました。博物館も建て、狭山台体育館プール、市民会館を建設し、文化都市実現のために力を注ぎました。公園を整備し、テニスコートを初めサッカー場、ソフトボール場などスポーツ施設も多く建設されました。動物園、植物園が建設されたのもこのころです。

この第2次基本構想では、「市民が優れた芸術、文化に接する機会と創作活動の場の拡充および地域の文化情報の提供に努めるとともに、市民と行政が一体となった文化的街づくりを推進する必要がある。」と述べています。

 

平成13年に改定された第3次基本構想でも将来像は「緑と健康で豊かな文化都市」をめざすとしました。今でも思い出すのですが、私がどんな豊かさを求めるかと質問したところ、市長は「“心の豊かさ”を求める」と答弁されました。物の豊かさから心の豊かさや生活の質を重視する方向へと人々の意識が変わり、第5番目の重点施策として、「人を育み文化を創造する街を目指して」を作るために、想像性豊かな市民文化の振興を目指すことが言われています。

決定的に、第3次基本構想で変わったことは、重点がハードからソフトへの、建設から充実への政策の転換を求められたことと、市民と行政とが一体となって文化的都市をつくるという2次のときの考えとは違い、市民の自主的な文化活動を促進する方向に変わったのです。

 

第3次基本構想が作られた次点では、必要な文化施設は他市並みにそろっていましたが、文化施設の更なる整備充実という事で、前期には、文化教育施設としては市民健康文化センターが建設され、入間川小学校が場所を移し改築され、智光山公園テニスコートが広く作り直されました。


私は、ソフトの面を決算ベースでどのようになってきているかを調べました。学校教育費を除き、都市交流推進費、文化行政推進費、市民会館費、社会教育総務費、公民館費、図書館費、博物館費を平成7年度と平成17年度とを比べました。平成7年度では一般会計歳出決算額は約443億円中、これらは約133千万円、すなわち、全体の3%を占めていました。平成17年度は約424億円中、約107千万円となり、全体の2.5%となりました。問題はこれらの費用のうち、実際の事業に当てられた費用を算定しました。たとえば国際交流協会補助金、国内・国外交流事業費助成金、狭山大茶会実行委員会補助金、社会教育関係団体運営費補助金、公民館事業者礼金、公民館講師謝礼金、図書購入費、AV資料購入費、博物館講師謝礼金、展示会業務委託金の合計を比べると、平成7年には186百万円だったのが、平成17年には57百万円とほぼ半減して仕舞いました。

 

他市とも比較しました。市民会館費、公民館費、図書館費、博物館費について、川越市、所沢市、飯能市、入間市、熊谷市、新座市と比較したのです。


狭山市は、市民会館費の一般会計歳出決算額に対しての割合は0.4で、川越市や入間市と変わりありませんでしたが、同規模の熊谷市に比べ20%少なく、所沢市、飯能市の半分という結果でした。また、事業費ベースで見ますと入間市は市民会館費の22%の29百万円を事業費に当てているにもかかわらず、狭山市はたったの2.9%の443万円しか事業費にしていません。飯能市は11百万円ですから、飯能市の事業費の半分にも満たないのです。他の市は市民会館を指定管理者に業務を代行させていますので、比較はできませんでした。

 

公民会館費は狭山市の支出は入間市の6億円についで大きく、約4億円でした。公民館の数が同数の所沢市に比べ1億円、12館ある飯能市に比べ9000万円、18館ある川越市に比べ12千万円も決算額が多いのです。それにもかかわらず、事業謝礼金、講師謝礼金は7市中最低で、同じ11館公民館のある所沢市は、総費用が狭山市より1億円も少ないのにも係わらず、事業費は狭山市の2倍以上の1千万円使っているのです。

 

図書館費、博物館費ともに総額は他市と遜色ありません。しかし、博物館に関しては、川越市と比べると、狭山市の総額は2千万円も多いのに、事業費の講師謝礼金は狭山市は100万円、展示業務委託金は70万円少ないという事がわかりました。図書館に関して言えば、図書購入費の総額に対する割合は他市に比べひどく落ちるという事はありませんが、AV資料代などは全体に対してのポイントでは他市の半分ぐらいです。狭山市ではインターネットによる図書館外部情報検索が出来ないなど、他市に比べ機能的に問題があるところも見受けられます。

 

この調査の結果は、概して文化に対する費用の総額は他市と比べ遜色ないが、ソフト面の支出では見劣りするという事です。これから、私が何をいいたいのかというと、まず、狭山市の場合、文化施設などのハードはあるけれど、ソフト面に対して経費を削減しすぎたのではないかという事です。文化都市、それも豊かな文化都市を形成するには、私はやはりここにお金を掛けなければならないと思っています。議会での私の質問に対して、自前の、市民からの活力を使って低廉に文化を創造するのだという意味の答弁でした。しかし、私は、高く、美しく、清く、厳しく、すばらしい、真、善、美たる文化を創造するには、特にソフト面でのコストが掛かるのは仕方がないのだと思っています。

 

2点目、総額が大きいという事は、施設の人件費を含めて維持管理費が高いという事で、もう少し真剣に考えなければならないだろうという事です。市民会館や公民館の指定管理者への移行はもう時代の流れです。図書館だって、センター機能を持つ中央図書館は指定管理者に移行できなくとも、分館などは指定管理者に代行してもらうことも可能でしょう。

 

さらにいえば、運営方法を変えることで、費用を削減したり、サービスの向上を図ったりするだけでは、文化を創造できるかといえば、足らないのではないかと思います。施設が古くなっているのが現状です。手島議員が第一日目の一般質問で公民館の改修・改築の計画について質問されましたが、これらの施設も含め、文化施設の改築、改修は、文化施設の再編を視野にいれ、学校の再編と同時に考えていく時代になっていると思います。そういう意味で言えば、私は狭山市駅西口に作られる公益施設に期待したいと思います。新しい器で新しいことが始まるような仕掛けや仕組みを今から考えて言ってほしいと願います。西口の公益施設を使い、さまざまな質の高い文化事業が行われていってほしいと願うからです。

 

このたび、第三次総合振興計画・中期基本計画が策定され、来年度から計画が実行されます。私は、豊かな文化都市をつくるため、「人を育み文化を創造する街を目指して」をよく読んでみましたが、一つ一つの施策は理解できても、全体としてどんな文化都市を目指すのか、実際理解できません。この計画では文化面に対しては、今までと同じような施策をしていくような感じです。はっきり言いますが、今のまま、文化施設維持やソフト面への予算削減を続けて豊かな文化都市をどう構築するのか疑問です。この点、市長から文化都市に対してのヴィジョンを伺いたいと思います。

 

私は、決算ベースで10年前と比較し、又他市と比較するという一つの面から狭山市の文化行政を分析しました。ところで、市は、現状の文化行政をどうとらえ、課題をどのように考えられていますか。

 

私は、(仮称)文化都市推進基本条例・計画を策定することを提案します。「緑と健康で豊かな文化都市」を目指すために、緑の基本計画や健康推進のための計画を狭山市はすでに策定し、着々と推進してまいりました。しかし、なぜなのか豊かな文化都市を推進するための文化都市推進条例や計画はまだ策定されてはいません。ヴィジョンをしっかりもち、狭山市駅西口に出来る公益施設の活用も含めて、豊かな文化都市を作るための指針として基本条例・基本計画の設定を行ってください。これについて、市長のお考えを伺います。

 

2.    教育行政

 

去る10月20日、文教厚生委員会協議会において、小・中学校の規模と配置の適正化に関する基本方針案が示されました。これは実質上、学校の統廃合に関しての実施計画のようなもので、具体的に小中学校の統廃合地区別優先順位がつけられており、小学校4校、中学校2校の統廃合を進めようというものであります。まずは狭山台地区、入間地区から統廃合し、今後水富地区と入間地区を1校ずつ統廃合していくというのです。

 

私はこの案の作成を昨年来行っていることをしり、すでに議会において、平成18年度3月議会で、このような平面的な計画案を作るのではなく、総合政策部と街づくりの視点で話し合い、事を進めるべきであることを提案しました。学校は地区の拠点です。また、昔から学校は街づくりの中心的な存在でした。ここを基点にどのような街づくりをするかという視点が不可欠です。特に若い世代をひきつけるには重要な鍵です。

たとえば、水富地区の場合、今3校ある小学校では1校多いので2校にしようという考えです。3校ある学校を2校にすれば適正化できる、すなわち小学校のクラス数を一校あたり18学級から24学級にすることが出来るというのです。私には、これはかなり机上の空論に思えます。教育委員会では経済的に改築または改修は不可能だと思っているのですから、統廃合と具体的に例えば、水富地区の場合、3つの中の真ん中の小学校を二つの学区にわけて、その小学校の3クラスを隣接の小学校へまわし、それぞれの学校を18クラスから24クラスにしようと考えるしかありません。

しかし、実際がこのようになるとは私には考えられません。1つの小学校を廃校にしてしまえば、学区の真ん中は結局どちらの小学校に行くのも遠くなってしまいます。スクールバスを走らせるならともかく、また、自宅を売れない人はともかく、移動可能な人は小学校へ入る時には、他の地区または他の市の学校の近い場所に移動することでしょう。あたらしく家を買う人は若い人が多いのが普通ですが、子どもの学校の不便なところでは、需要が減っていくと思われます。

すなわち、そのせいで、水富地区は廃れていく可能性のほうが高いと思います。今年10月、私は建設委員会視察で富山市に行きました。ライトレールの視察をしたのですが、その前身の電車が廃れたのは、乗客が少なくなったときに、サービスをカットしたからだそうです。行政サービスの低下は都市の魅力を失わせます。誰が歩いて1時間も掛かる学校に子どもを通わせようとするでしょうか。出来る人は、他の市へと移っていくに決まっています。私が学校の統廃合には街づくりの観点が必要だというのはこういう事が想定できるからです。

 

また、私は明治の開校以来、水富地区に脈々と続いてきた小学校を廃校にするという事は、文化的にも無謀としか言えません。名前なんてどうでもいいやというかもしれませんが、私は名前は立派な文化だと思っています。それを、適正規模云々という事で、なくしてよいものでしょうか。もし、そんなことになるのなら、諸先輩に申し訳が立ちません。

先日の全員協議会では、尼崎市の小・中学校適正規模・適正配置推進計画について視察した報告がなされました。この市の計画作成の良い点として、まず住民参画による計画策定がなされ、計画の見直しも柔軟にされたという事です。私も、狭山市では小中学生の数が半減している状況を知らないものではありません。きっと市民でも多くの方々がその事実を知っていることでしょう。教室が余っていることも承知でしょう。だから、この現実を教育上適正化していく方法を市民と模索していき、そのつど納得してもらって、計画を進めるというデリケートなやり方をするべきだと思っているのです。

 

先月は東京都足立区へ視察に参りました。小中一貫教育の視察だったわけですが、これは市民からの要望で出来たのだそうです。今時の市民はいろいろな情報や知識をお持ちです。出来る限りのデータをお持ちして、勿論財政面の心配もあるでしょうが、それも含めて忌憚なく話し合いをする中で計画を進めるべきではないでしょうか。そして、その話し合いの中で市民が納得した、自発的な計画であれば、私の思いはともかくとして、それを理解していかなければならないと思うのです。

 

それで、まず、この方針案について、

1.    この方針立案に至るまでの経緯、

2.この方針の内容とその理念は 

3.方針策定への市民の参画 

4.今後の計画推進に対する市ならびに教育委員会のお考え

 

この4点を伺います。

 

次に私は教育の制度改革を中心にいくつか伺います。先ほどの学校規模の適正化計画ともリンクいたしますが、これも昨年の3月議会で小・中学校の一貫教育をしてはどうかという事を伺ったことがあります。今回も同じ事を伺います。学校の規模などを適正にする際、一校を廃校にして2校を1校にするというのではなく、たとえば狭山台地区のように小中学校が隣接しているような場合は、小・中学校の一貫教育を導入するのはどうですかという提案です。たとえ、遠くに通わせることになっても新しい学校が魅力的ならば、親は文句を言いません。良い例が入間川小学校でしょう。遠い駅前から入間川小学校へ通わせるのをいとわないのは、入間川小学校の斬新さにあるのではないでしょうか。私の友達は、家をわざわざ入間川小学校区内に買って、子ども3人を入間川小学校へ通わせました。先ほどから言っているように、魅力あるところに人は寄ってくるのです。

 

すでに、いくつかの市や区で教育特区を受け、小・中一貫教育をしているところが増えてきました。この前、視察した足立区では6、3制の教育には制度疲労があるのではないかというお話を聞きました。また、小・中一貫教育に関しては地元の要望により、2年間という短時間で実現できたという事も聞きました。

 

今回、もう一度、教育長に伺いますが、6,3制の制度疲労についてどのように考えられますか。

たとえば、小・中一貫教育をするにあたり、狭山市においてどのような課題があると考えておられますか。課題があるとしてその克服についてどう考えますか。

 

なぜ新しい制度の導入を少なくとも検討しようともしないのでしょうか。結果が出ていないことをするのを怖がる気持ちはわかりますが、実際のところ、結果は他の国を見れば出ているわけです。欧米はほとんどの国で6,3制をとっていません。

 

30年近く前、私がアメリカの大学院で教育学を学んでいた時に、イリノイ州の教育長の講演を聴きました。悔しい思いをしたのですが、「アメリカの青少年は日本の青少年よりずうっと自殺者が少ない。アメリカの教育は自分の価値を正当に評価させる、とても良い教育をしているのだ」というのです。残念ながら、学校崩壊、虐め、児童生徒の自殺、不登校などは、30年前以上に深刻です。それに対してカウンセラー設置などの対症療法でなく、システムを変え、新しい教育理念で教育をしてみる勇気も大切だと思うのです。

 小中一貫教育は街づくりの起爆剤として私は有効だといいました。それだけでなく、教育の中身を高めるためにも有効だと思います。前に述べた規模の適正化方針の中には一言も小・中一貫教育については触れておりません。なぜ、この制度を検討することなく導入しないことにしたのか、それに対して教育長からご答弁お願いしたいとうおいます。

 

2.    契約

 私は契約について、何べんか質問をしています。それは福島県で、和歌山県で、宮崎県で行われたといわれる談合を他山の石とすべきだと思うからです。私は政務調査費を使わせていただき、女性のための政治スクールで中田横浜市長、浅野前宮城県知事から談合防止についてのお話をうかがいました。その二人がおっしゃるのに共通のことがありました。それは競争を阻害しないことだというのです。指名競争入札や一般競争入札でも多くの制限をつけた入札では談合が起きることが推察されるというのです。言うまでもなく、談合による入札価格の不当な引き上げは、今はもう、税金を盗む、犯罪行為として認識されております。納税者が被害者です。地産地消などといい、一般競争入札にまで入札資格を地元業者だけに限定し、地域限定型入札した福島県での談合は、世間から非難され、また犯罪行為として立件されています。

長野県、宮城県などでは一般競争入札を1千万円からにしたところ、平均の落札率が74%になったという事です。最近の国土交通省によると国土交通省の落札率が60%台まで下がったそうです。

そこで、狭山市の状況をどう考えているかお聞きしますが、工事の入札では落札率の95%を閉める割合が126件中110件、委託の場合は67件中40件となっていますが、これを下げるための工夫は何をしていますか。

私は、落札率を下げ、又あってはならない談合を抑えるためにも、今後500万円以上の工事や委託を一般競争入札にするべきだと考えています。これについて、どのように考えておられるかを市長にお聞きします。

 

最後に、物品関係の契約について伺います。物品は一応50万円以上は入札になっていると思います。小さいものから、大きなものまであると思いますが、私はこれらの契約も工事や委託の入札結果と同様ホームページなどで公開すべきと考えていますが、どう考えますか。

 

以上で、私の一般質問の一回目を終わりにしたいと思います。