2005年3月議会一般質問原稿

この通りに読んだわけではありませんが、ご参考のためにご覧ください。

1.契約  2.次世代育成(新しい子育て環境を目指して) 

議長のお許しをいただきましたので、8番高橋ブラクソン久美子が一般質問をさせていただきます。

新潟市の官製談合事件が発覚し、公正取引委員会が大手ゼネコンや地元業者、市役所を立ち入り検査してから、1年以上が過ぎました。私は、実家が新潟なもので良く新潟に帰りますが、この1年以上にわたり、地元の新聞「新潟日報」にこれ関連の記事が止むことなく掲載されています。事件は、2003年9月から10月にかけて、公正取引委員会が、市幹部の関与の疑いが強まったとして新潟市発注の土木工事をめぐる入札談合疑惑で、大手ゼネコン、地元業者、市役所を立ち入り検査する事で周知する事になりました。1年近い調査のあと、2004年7月、公正取引委員会は大手ゼネコンを含む113社に排除勧告し、官製談合防止法に基づき職員5人を特定した改善措置要求書を市に提出しました。10月には新潟地検が競争入札妨害容疑で市職員と建設業者を逮捕、11月までに職員4人と業者4人を起訴し、業者3人を略式起訴し、業社の担当者56人が起訴猶予処分、排除勧告に応じなかった業者84社の審判が継続中という状況です。

この間、新潟市議会も全員協議会を何度も持ち、総務委員会では、議会休会中も前市長、助役からの聴取を始め、事件の解明とまた議員の関与等を含め審査を続けています。

市長は、「市入札談合党関与行為調査委員会」を設け、委員会は2005年1月その調査報告を提出しました。それによると新潟市と業者の関係を「官民癒着の完璧な談合関与システム」と断じ、工事発注課が設計価格を業者に教えるだけでなく、業者に有利な扱いをする職員が出世する人事や、OBの再就職、市議の関与などの生々しい癒着の実態も明らかにました。

新潟日報社は、新潟市発注の土木建設工事をめぐる官製談合事件で、偽計入札妨害の疑いで逮捕された都市整備局参事が課長時代に発注した工事の約3割が予定価格の99%以上の高率で落札されており、また、工事の大半が落札率95%以上と高かった事も調べで分かったとしております。

 

私自身は、新潟市官製談合事件を新潟の特殊な事件としてはじめは注目せずにいました。しかし、昨年10月19日に逮捕者が出て以来、他市の官製談合事件とはいえ全国規模の報道に際し、無視できずおります。ことわざには、「他山の石となす」、「転ばぬ先の杖」など、ほかの人の誤った行いを自分の反省材料としたり、誤ることのないように事前に方策を取るようにと戒めがあります。私はこの新潟市官製談合事件からしっかり学び、狭山市に限っては決してこのような事件を起こすことがないという体制を構築しておくべきだと思っています。そこで、狭山市において、契約状況はどのようであるか、うかがいたいと思います。

 

まず、部長へ伺います:契約の状況:随意契約(特に1社随意)、見積もり合わせ、指名競争入札、一般競争入札の

1)契約件数:それぞれ出来れば、工事、委託、設計など分野別で

2)設計価格に対する予定価格の割合:出来れば分野別で。

3)落札率:出来れば同上

4)     落札率80%以下、80%から90%、90%以上(予定価格に対する落札率)の件数と割合

5)     契約変更率

を伺います。

 

市長には、契約(入札)と入札改革に対する考えを伺います。なぜ公平、公正で透明性のたかい入札制度が必要だと思いますか。

 

助役へ伺います:

1)今まで適切な入札方法をどのように採用してきましたか。

2)多様な入札・契約方式を導入するためにどのような努力をしていますか:一般競争入札を大幅に導入、指名より希望業者、総合評価型入札などに対しての考えはいかがですか。

3)入札の透明性及び公平性の確保のためにどのような施策をしていますか

4)狭山市では低入札価格での落札は今まであったか。その際どのように調査をしましたか。その調査の公表はどのようにしましたか。

5)等級制の運用やその公表などどのように行っていますか

6)談合情報マニュアルは作成されていますか

7)     予定価格の事前または事後公表をしていますか

8)     工事などの履行保証体制は契約の中でどのようにしていますか。

9)不良・不適格業者の的確な排除のためにどのような対応をしていますか。

10)            電子入札の導入をどう考えていますか。

11)「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」、官製談合防止を目的とした「入札談合当関与行為の排除及び防止に関する法律」を守るために、狭山市としてどのような入札改革をしてきましたか。また、法を遵守するため「入札制度改革検討委員会」を設置し、抜本的な入札制度の改革を目指してはいかがですか。

 

狭山市の落札率については、毎年議会でも質問されており、平成15年の9月議会において渡辺議員の質問にたいし、落札率は平成14年度では平均で予定価格の98%ということが答弁で明らかになっています。新潟市民オンブズマンの佐藤賢事務局長は「落札率が95%以上には談合がある」と推測しています。そして、日本弁護士連合会の弁護士、松葉謙三さんによれば、一般に談合による発注者の損害は落札額の20%程度であると推定されるそうです。狭山市の発注に対して談合のあるなしについて論じる事は出来ませんが、いかにも予定価格に対して98%という落札率は高すぎると思います。これを10%、20%でも下げるためには、公正、公平、透明性をもっと高めることが至上課題だと思っています。予算計上したものから、少しでも低く入札していただくことは、昨今のように市民税の減収が取りざたされ、扶養費の増大が問題とされ、既存の建物が古くなり修理修繕が不可欠な狭山市の状況の中では、限られた歳入を多くの事業に使う事ためには必要不可欠です。

官製談合防止法の趣旨は公平な競争入札を官が阻害することは罪であるという観点から施行されたものであります。落札率を下げ、少しでも税金の無駄づかいをやめさせることは、市民全体に奉仕する公務員の使命であり、官自らが入札の公平性を阻害するようなことがあってはなりません。新潟の官製談合で逮捕者が出たのも、結局は自らや業者の利害を求め、市民全体の利益を阻害した事によるものと思います。新潟市に対する指摘の中では「議会が落札率の高さや、談合の可能性を指摘しても市執行部が直視しなかった」と新潟市の談合に対する認識の甘さへの批判もあったそうです。新潟市議会だけでなく、狭山市議会の議員の一人として、ここで狭山市の落札率の高さを指摘しておきます。改善する方策が必要だと指摘もいたします。

犯罪はすべて防止することは出来ません。談合や官製談合と言うものもすべて防止は出来ないかもしれません。しかし、狭山市民全体の利益のためには、「少なくとも狭山市では談合も官製談合もさせない」、と言う強い決意でシステムを見直す必要があると思い、今回の契約について、質問をいたしました。

 

2.「次世代育成:新しい子育て環境作りを目指して」に関していくつか質問させていただきます。

次世代育成行動計画が作成されようとしています。素案が公表されている状況です。日本としてはじめての人口減少を前に、これをいかに食い止めようかと言う議論が始められています。子育てをしやすくすれば子供を生むのかと言うことも良く聞きます。私も子育てをしながら働いてきた女性として、もう少し社会の手助けがあったらよかったのにと思う場合も多々有りました。また、専業主婦として家庭にいた時は、孤独で子供とともに途方にくれるような思いをしたものでした。ですから、子育て支援が子供を生んで育てようとする家庭への応援になり、次世代育成行動計画が子育てプランと考えられても仕方がないと思うのですが、一方で子育ての面だけを強調することが子供の育ちの面から見て本当に重要なのかという思いを失くす事が出来ません。親の幸せが即子供の幸せといえない事を、虐待事件でしょっちゅう見るようになると、親の視点だけで子育てを考えるのではなく、子供時代を素敵にすごさせるにはと言う子供中心の視点が決定的に必要になっているのではないかと思ってしまうのです。

次世代育成行動計画が子育て支援にのみ強調され、そこで子供達がどのように育っていくのかと言う理念なくしては、子育てはしやすくなったが、それで育った子供は自分達がなってほしくないような子供として育ってしまうという事だって起こりかねません。子供達が心豊かに楽しく愛情を注がれて健康にいきて生きて、おおらかに社会に自立していくことを私は願っています。そのための方策としての次世代育成行動計画を考える視点も本当に必要だと思います。

そこで、伺います。新しい子育て環境作りを目指して施設型保育・教育をこの計画の中でどのように考えておられるのでしょうか。

子育て支援としての施設型保育・教育は、今までは地域での養育や家庭での養育、地域教育や家庭教育の補完のようにとらえられて来ました。子供の時間の一部をそこで過ごすという概念が多かったし、地域に子供が多かった時にはそれでも良かったのです。少子化で地域に子供が少なくなると子供達を連れて施設、たとえば児童館や子育てセンターのような場所に行かざるを得なくなります。そうでなければ子供同士を遊ばせる事すら出来ないというのが現在の状況なのです。ですから、施設はいまや地域教育や養育を担う場所になりつつあるのです。小さい子供にとって家の周りは車が通って危ない場所、知らない人が何をするか分からない危険な場所なので、施設こそが多くの同世代と楽しく遊べ、安全な場所になってしまったのです。親はそれを理解するからこそ、保育園に入れることをためらいません。家庭においておくより、子供には楽しいかもしれないと思うからです。

今総合施設という考えで新しい概念の子供養育・教育施設の整備が始まろうとしています。厚生労働省と文部科学省が協働でお互いの良いところを補充しあい、また子育て支援の考えも入れた総合施設を平成17年からモデルを作りはじめます。法律を平成18年までに作り上げ、全国で総合施設の建設が始まる予定です。今までの保育所、幼稚園という全く違った理念のところで日本の子供を育ててよいのかと言う反省がその後ろにあるのだと思います。幼稚園の子供に地域養育を、保育園の子供に幼児教育をということなのでしょう。この総合施設に対して教育長はどのようなお考えでいらっしゃいますか。今実際に水富幼稚園の建物の中に広瀬保育園分園を入れています。新しい試みの総合施設として18年度をめどに仮称水富子供園として設置してみてはいかがでしょうか。保育園を0から2歳にし、幼稚園部分を3歳から5歳とし、養育時間は保育所並みにするという考えの狭義の総合施設を作り上げていくと言う事です。お考えを伺います。

次に子供達全員が行く小、中学校という施設に関しても伺いたいと思います。これらの施設に関しても弾力化という波がやってきています。6,3制がもう制度疲労を起こしているのではないかというのです。低学年に見られる指導が中々行き届かないでの1年生の学級崩壊、中学校に入るや急増する不登校が問題とされています。これらの解消するために、様々な考えと試行錯誤が始まっています。小学校と中学校を3つに分ける3,4,2年制を品川区が小中一貫校として実施はじめました。2,3,4年制を試行しているところもあります。北は北海道、南は九州まで63制廃止し、新しい区分での教育の試みが広がっています。狭山市は小、中学校の統廃合を考えるという話がありますが、ただ学校を少なくすると言うのではなく、教育特区の中で63制を変えていく事も考えてみるべきではないかと思いますが、教育長のお考えを伺います。

制度まではという時に、又は制度改正とともに、小中一貫カリキュラムが話題になります。狭山市では英語特区をしています。これと中学校での英語教育を一貫的に統合し、他の市の子供よりも英語を話せる子供にしていくとか、数学の教科制を充実させ小学校でも担任が教えると言うのではなく、数学は選科の先生が教えるようにするとか、国語の作文教育を9年で体系的に教えるとかイロイロなやり方が考えられます。その本意はやはり今の63制の問題点の解消を一貫カリキュラムの中で解消するということにあると思います。これについてはどのように考えて折られるのかについても教育長に伺いたいと思います。

私は財政基盤を考えない行政はありえないとは理解しております。けれども、私は子育て、教育は財政問題の観点でのみ語ってはいけないと思っています。最近報道されている事件に大幅に振り回される必要もありません。10年後、20年後の子供がどうなっているかを考えながら、子供にとってどんな療育・教育環境が良いのか、作るかと言う視点を確立して教育改革を遂行してほしいと願うものです。平成の大改革の波は教育にも及んでいます。それを踏まえて質問いたします。以上で私の一回目の質問を終えます。