賛成討論ー2003年3月

これは、請願第1号「狭山市立のすべての学校で40人以上になる学校をなくし、どの子供にも行き届いた教育を与えるための請願」が文教厚生委員会で趣旨採択になった事に対して、反対討論をすることになっていたのですが、議会では趣旨採択が決まっていないので、請願の賛成討論としてほしいということで、“賛成討論”という事で行った討論の原稿です。

ですから、少し書き換えて討論をしたのですが、実際はほとんど原稿通りですので、ここで発表します。

議長のお許しを頂きましたので、請願第1号の趣旨採択に反対し、請願の採択を求めて、討論させていただきます。

私が請願第一号の趣旨採択に反対するのは、その趣旨に反対するからではありません。私は、請願の内容にすべて賛成であります。年頭に39人、40人という児童数でクラスをスタートさせ、年度途中に40人を超すクラスが毎年といってよいほど、狭山市には存在します。高学年では、後ろまでぎっしり机やいすが並べられ、ゆとりの空間がほとんどありません。また、低学年、特に1年生は生活上の指導が細かい点まで求められるにもかかわらず、十分手が回らない状態が見られます。このような事態の改善を求めて、今回保護者を中心に1635人もの方から、請願が出されたのです。

 この請願はとても謙虚な請願だと私は感じました。要約すれば、“@では小学校1,2年生の字児童数を30人程度にしてほしい、Aでは35人以上の多人数学級を解消してほしい。Bでは各学校が状況に応じて柔軟な学級編成を行えるようにしてください。”となります。どの請願項目を読んでも、無理な事は言っていません。絶対いつまでに、こうしてほしいと明言はしていません。30人定員とはいわず、児童数を30人ぐらいといっています。特に、Bでは、すべての学校で@、Aを実施できなければ、各学校の事情に応じてと、もう一段の譲歩をしているように私には理解されます。

 これは、始めて請願活動をする方々が、どうしたら自分たちの思いを議会で議員さんたちに理解して貰えるか悩み、考え抜いた結果、これなら分かって貰えるだろうとした内容だったのだろうと思います。

 請願者は、それを理解し賛成した5人の議員が今回紹介議員になってくださったのだろうきっと思ったことでしょう。“議員・職員のための議会運営の実際6”,45ページに記されているように、紹介議員は請願の採択に努力する責務がありますので、請願の内容に賛成を表する者なければ、紹介すべきでないとされているのです。また、同64ページには、紹介議員が請願が議題となった後に、一部でも賛意を表しがたいときは、当該請願全体についての紹介を取り消すという事になり、議長を通じ、議会にその取り消しを申し出、本会議の許可を受けなければならないとされて居ます。

 今回は、文教厚生委員会は趣旨採択を採決いたしました。趣旨採択の動議が紹介議員から出され、4人の紹介議員が、請願の採択を求めることなく、趣旨採択に賛成いたしました。この行為は、紹介議員としての責務に対する認識に欠ける行為だと考えられます。先の議会運営の実際では、趣旨採択については一見もっともらしく思えますが、趣旨の範囲、把握が不明確ですので、果たしてこのような不明確な内容を採択きるのか疑問であるとしております。すなわち、この趣旨採択は、採択しない、すなわち一部不採択、反対の一種の運用形としています。今回もし、紹介議員が趣旨採択を求めるのであれば、一部を反対した事になりますから、紹介を取り消すべきではなかったかと思います。

 紹介議員は当該請願に賛成なので紹介したのですから、表決の際に一部でも反対できません。反対すれば議会内や請願者との関係で紹介議員の道義的責任を問われる事になります。すなわち、今回、この趣旨採択に賛成の紹介議員は当請願に賛成しなかったものとして、道義的責任を問われるはずです。この道義的責任をどのように請願者や議会に示すのか、紹介議員は真剣に考えるべき問題です。

 文教厚生委員会の請願審査では、紹介議員が4人もいたのですから当然採択になるものと、請願者達が期待して傍聴していました。文教厚生委員会で趣旨採択を採決した後、これらの請願者たちの声を伺いました。ある人は、「あの紹介議員達の理解はポーズだったんだ」といいました。また、ある人は、「事前になんの話もなく趣旨採択にするなんて、もう議会に理解を求めても、私たちの思いは通じないんだ、やっぱり。」といいました。ある人は、「今後は、もう議会はいいよ」とも言っているようです。請願者の気持は、紹介議員に裏切られたと言うよりも、議会に対する信頼をなくしたかのように見受けられます。

 だからこそ、紹介議員には趣旨採択を動議し、これを採決した事に対して、議会の信頼を失墜させたものとして、道義的責任を感じてほしいのです。

 私は議会の一員として、請願者の思いに答えたいと思っています。請願の願意もその請願項目も納得に値します。他のことはさておいても、できる学校から、できれば、今年からでも、1クラス40人以上にならないために、手当てを始めるべきです。

 財政のことを問題にしている議員もいました。しかし、今もう35人以上の1年生には補助の先生がついています。その方と、他の教員を入れ変えたりすれば、運用でクラスを増やせます。志木市では、すでに25人程度学級が実施されています。県費配当教員を担任に配置する事になっているため、その補充として専科教員を志木市で採用しています。同じ方法で狭山市も児童数40人以上にならないようなクラス配置は可能ですし、その際の財政負担は、多き過ぎることはないと思います。

 以上の理由を持って、私は、始めて学校保護者を中心に出された、「狭山市のすべての学校で40人以上になる学級をなくし、どの子供にも行き届いた教育を与えるための請願」を議会として採択することが、市民の議会への信頼と理解に答える道だと信じます。時代は変わっています。議会の多くの議員は40人どころか1クラス50人を越えるクラスで学んだ事でしょう。だから、現在の学級の様子を理解するのが難しいのかもしれません。家庭の教育力の低下が地域の教育力の低下とともに言われるように長年になりました。せめて、学校だけででも、しっかり子供を育てなければ、将来の日本はどうなっていく事でしょうか。小さいクラスでじっくり目をかけて子供を育てる、一見贅沢で、わがままを助長すると考える人もいるかもしれませんが、それなしにこれからの日本の子供たちは生きる力をはぐぐんだり、個性的に育っていかないのです。その意味も含めて、私はこの請願の採択を望んでいます。ですから、この請願に賛成の意をもう一度表して、賛成討論を終わります。