議案118号 「狭山に市西口地区整備事業を現行計画のまま行うことの賛否を住民投票に付するための住民投票条例」に対する反対討論

このとおりに読んだわけではありません。原文です。

 

私は西口地区整備事業を現行計画のまま行うことの賛否を住民投票に付すための住民投票条例を制定することに反対いたします。この投票をしなければならない意義を全く感じないからです。1条の目的ではこの西口地区整備事業を現行のままするかどうか賛否を問うことが民主的で健全な市政を図るためだといいますが、実際そうでしょうか。

私たち狭山市民は狭山市駅西口の整備を長年にわたり望んできました。そして、狭山市駅を見、狭山市駅を使い、小学生が歩道もないので、構内を歩いて登下校している姿を思うに、一日でも早く狭山市駅西口整備の着工、完成を望んでいます。現在の計画は、その市民の願いを実現するために、地権者をふくめた諸関係者が根気強くご努力をされたこと、そして、自分の利益のみを考えず、自己犠牲をも払う駅前周辺の方々の覚悟の表れです。誰が先祖伝来の土地を公共に差出し、今まで営んできた事業を替え、家屋敷を移転させたいでしょう。出来るなら今のままでいたいと思うに決まっています。それを、狭山市駅西口を使う人のために、また、今後これを使うであろう未来の住民のためにと、この計画案に、すべての権利者の方々が合意を形成してくださったのです。

すべての権利者がGOと言い、計画、事業認可もされている事業で、将来の資金面の問題もクリアしている市民の懸案事項を、なぜ住民投票に掛けなければならないのか理解に苦しみます。市民は一日も早い完成を望んでいるだけです。

この住民投票を求める考えには、「一日でも早く西口の整備はしてもらいたいが、現行の計画が大きすぎるので見直しをしたい」という声があると聞いています。前段の「一日でも早く西口を整備してもらいたい」というのであれば、現行の計画を進めるのが道筋でしょう。法的な面、権利者の合意の形成などすべての面で、現行の計画はクリアしています。これを1から始めるというのであれば、また、何十年という月日が掛かると思います。それどころか、整備は出来なくなるかも知れないのです。

そして、後段の「計画が大きすぎる」という主張は、前段と密接に絡んでいることを知っておくべきです。すなわち、「権利者さんの生活再建をどうするか」という事です。見直す会のチラシでは、「90億円で道路と駅前広場を造ればよいのではないか」「現行の計画は大きすぎる」と言います。しかし、「道路と駅前広場だけを造る」と言いますが、現在駅前やその周辺で事業を営んでいる方々の生活の問題をどう考えるのでしょうか? 駅前広場を造り、道路を拡幅するために、今現在事業を行っている駅前のビルを壊し、その上今住んでいる家をつぶして、「さあ、出て行ってくさい」と地上げできますか? 90億円での買収方式の駅前整備とはそういう事業です。しかし、今駅前やその周辺におられる方々に、そんな勝手な要求は出来るわけはありません。だから、地権者の皆さんの理解を得て西口の整備をするには、再開発の手法によるしかないのです。地元の方々の事業の継続を保証し、また、せめて駅のそばに住宅地を確保することが、この事業の成立の第一要件です。

何べんも言いますが、たとえ、公共の利益だからと言っても、駅前広場や道路を造るために理不尽な立ち退きは求められません。見直し派の90億円案は、地権者にしても決して理解を示すことの出来ない案です。よって、90億円で駅前広場と道路を造る云々は、「机上の案」で、実現できっこないのです。私は、出来ないことを出来るかのように言うのは嘘をつくのと同じと言い続けてきました。

したがって、この住民投票案の隠された趣旨は、次のような事です。すなわち、「ようやくまとまった事業案を破棄し、整備への展望を失わせるか」、それとも、「現行のままで5年後に狭山市駅西口整備を完成させるか」を選ぶという事です。そう考えると何も住民投票するまでもありません。住民投票するまでもなく、この条例の制定を求めた市民もふくめて、市民のほとんどが早期の狭山市駅西口整備を望んでいるのは明らかです。

この事業は市民の長年の懸案であるというのは間違いありません。市議会として住民の真意を問うことにやぶさかではありませんが、民意がはっきりしていることに、何千万円もお金を掛けて、住民投票を行う必要があるのでしょうか。それこそ、「税金の無駄使い」だと思います。

この西口整備の現計画は住民投票に値すると言う人がいます。そして、その根拠は、この条例の一条に言うように、民主的で健全な市政運営をするためとの事です。しかし、私は、狭山市駅西口駅前整備事業という地域性のある事案を住民投票で決めることが本当に民主主義的なのか、疑問に思います。最近いただいた「一市民」からというファックスは、「狭山市駅西口整備にお金を掛けると入曽駅の駅前開発が出来なくなる」という趣旨でした。だから、狭山市駅西口開発整備反対というわけです。住民投票を行い、狭山市駅西口整備事業の計画を止めさせたいというわけです。私はこのような考えで住民投票をしはじめたら、狭山市の市政が健全に運営できるかと危惧します。自分たちの思いを通すために市民全体の利益を省みず、このような手段をとるというのは、市民の良識をこえて、住民エゴとしか思えません。このような事が真に民主的なのか、私はいぶかっています。はっきり言って住民エゴのために、何千万円も掛け住民投票をするなどというのは、先ほど私が言ったように「税金の無駄使い」そのものです。

以上の理由で私はこの住民投票条例の制定に反対いたします。