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狭山市一般会計予算に対する反対討論

  私がこの予算に賛成できないのは、大きく二つありまして、まず1点目は、この予算が裁判所により適法でないと判決を下されたからです。前狭山市議会議員田中寿夫氏は、狭山市監査委員が彼の出した監査請求を却下する通知を受け、平成221224日、川越地方裁判所に行政訴訟を起こしました。その内容は、本年度予算説明書にも記載されているコミュニティ推進組織育成事業費の中の1の3、非常勤職員報酬、自治協力員報酬に関して、地方自治法203条の2第4項に違反し、法204条の2の規定に違反して支払われたとして、狭山市は仲川幸成市長に損害賠償をするようにというものでした。

  平成24年2月29日、裁判所によって一審の判決が下されました。その判決を見ますと、趣旨は次のようにまとめることができると思います。

  1、監査請求却下という監査結果は、適法な監査請求を誤って却下した不適当なものである。

  2、法203条の2第4項により、議会による民主的統制の要請に照らせば、職員の報酬等の額及び支給方法について、少なくともその基本的事項は条例で定めなければならない。また、法204条の2で、法律またはこれに基づく条例によらない報酬の支給を禁止するものであるから、基本的な事項を定めた条例に基づかずに報酬を支給することはできない。ちなみに、狭山市には自治協力員に対する非常勤特別職員への支給条例がないので、自治協力員に値する報酬の支給は違法なものと言わざるを得ない。

  3、たとえ平成23年7月29日に条例3条の規定に基づき、条例の実施に関し必要な事項を定めた特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する施行規則を制定したが、基本的事項については議会の制定する条例で定めなければならないのであって、法の違反状態が解消されるものではなく、法204条の2の規定に違反して既に支給された自治協力員に対する報酬について、さかのぼって適法になることはない。

  4、報酬の支給方法について定めた条例が存在しない以上、自治協力員に対する報酬の支給は条例の根拠を欠き、法204条の2に違反するのであり、議会が予算を承認したとしても適法になるものではない。

  5、その報酬について、議会の予算決議を経て、金額としても妥当であって、適法な状態においても、同種の公金支出を免れなかったから狭山市に損害は生じていないと主張するが、法の趣旨に照らせば、支出することの許されない公金を支出したものである以上、損害を与えた。

  すなわち、この裁判で明らかにされたことは、自治法で規定されているように、条例で自治協力員の報酬定めなければ、たとえ議会が予算を認定しようが違法であるということです。現在も、自治協力員に対する報酬を規定した条例はありません。このための条例がない以上、予算の執行は不可能です。支出できないものを議会が認定できるはずがありません。もし議会が、この状態で、違法と知りつつ平成24年度の予算を通すとしたならば、違法行為を助長したなどと言われかねません。

  昨日の全員協議会で執行部は、この判決を高等裁判所に控訴すると報告しました。しかし、第二審の判決がいかなるものであったとしても、現在の状況が違法であると指摘されていることに変わりはありません。執行部は、来年度中に条例整備を視野に入れるなどということを全員協議会で報告しましたが、このような判決が出された以上、予算を撤回し修正するか、自治協力員に対する報酬に関しての支給に関する条例を予算の採決以前に提出するのが筋ではないでしょうか。

  私は、自治協力員の報酬の支出が違法状況とわかって、この予算の執行の一部は不可能だとわかっていて、認定することはできません。

  初めに自治協力員の報酬の支払いを違法と指摘したのは議会でした。議員が指摘したのでした。議会での指摘に真摯に対応せず、監査請求をされ、行政訴訟に持ち込まれ、違法の判決を受けたのです。今回の判決文を読みますと、議会が予算設定したのだからという釈明をしていましたが、まるで議会に責任を転嫁されているようで、不愉快な思いを持ちました。

  次に、私がこの予算に反対なのは、広域消防組合の設立のために2億6,2584,000円という巨額な支出が予算化されていることです。このうち、2億円は市債によって賄うのです。狭山市民の将来のツケとして残ります。

  私は、広域消防による消防は、現在の狭山市消防に比べ、市民には利益は薄いものとして反対してまいりました。もし現状のままでいるならば、こんな金額を払う必要もなく、かえってこれを狭山市の消防のために使うことも可能なのです。ことしは、消防服などに予算が組んであるのに気がつきました。少しだけでも狭山市にある消防をよくしておきたいという願いすら感じられるように思いました。

  狭山市は、積極的に救急救命士の養成なども行ってきた実績もありますが、これらもどうなっていくのかと思っています。

  平成24年度、この予算をもって、議会は直接消防予算に対しての審査はできなくなります。私は、市民の安全・安心をどのように確保し、どのように向上させるかという視点で、狭山市消防を見てきました。しかし、それも終わります。本当にこれでいいのか。今ですら不安な状況で、私はこの予算を通すことはできません。

  自治協力員報酬の支出の違法性を裁判によって指摘されていることと、広域消防組合結成に反対という、大きなこの2点をもって、私は平成24年度一般会計予算に反対いたします。



2012年3月議会 水道会計予算に対する反対討論

私がこの予算に反対するのは、平成25年度から水道部の料金課のほぼ全部の業務を外部委託することにし、平成24年度はその整備に予算を使うことになっているからです。このように、一つの課をすべて、ほぼすべて外部委託するのは、狭山市では初めてのことです。

  費用が安くなり、サービスが向上するというのがうたい文句です。1年で1,500万円ほど安くなるといいますが、その安くなる根拠はほぼ人件費だといいます。しかし、平成24年度は外部委託のための支出も大きくなります。

  10年ほど前から「小さな政府」という声が大きくなり、民間に施設管理などを代行させる指定管理者制度も始まりました。市場化テストと呼ばれる官民の競争も始まり、狭山市でも市の第三セクターである施設管理公社は、市民体育館や植物園などの管理を民間業者と競争して、費用やサービス面で問題があったのか、事業から撤退せずにはいられませんでした。実際、公の施設の運営に関しては、狭山市直営よりも、民間業者はそのノウハウだけでなく、事業のネットワークも豊富で、市民に喜ばれています。ですから、私は、公の施設が効率よく運営されることに文句を言うつもりもありませんし、反対もありません。

  しかし、今回は、決して公の施設の管理運営を代行させるという話ではありません。市民の命に直結する水道業務のうち、市民と一番接する機会の多い料金課を、ほぼすべて民間にゆだねるというのです。民間委託をすれば、人件費は安上がりになるので経費節減になるといいます。

  それでは、そんなに狭山市職員の給料は、民間に比べて高いのでしょうか。だったら、給料を安くすればいいんじゃないですか。サービスが向上するというのですが、なぜ狭山市ではサービスを向上することができないのですか。

  苦情処理が大変だといいますが、今どき苦情処理のない部署はありません。窓口での接客は民間よりも下手だというのですが、私から見れば、それは民間に見習って接客をすればいいというだけです。要するに、請求書を書き、集金し、滞納した人に請求したり、苦情を処理したりするのは役人の仕事ではなく、民間委託で十分だという考えじゃないでしょうか。これは、みずからの業務を放棄することになると思います。役所の仕事を何だと思っているのかと考えてしまいます。公営企業の使命をないがしろにしているんじゃないかと思ってしまいます。お客様に向かい合わず、料金さえ受け取ればいいのさという態度であったとしたら、民間企業ではあり得ない姿勢です。

  水道の閉栓は市の責任でする。滞納した人については、委託先から情報を得て、かぎを開いて、福祉的な面も取り入れる。しかし、書面でのやりとりで、その人の事情がわかりますか。検針の人が毎月行くので、自分たちがしているときに比べ、市民と接することができるようになるなどというのですが、検針の人の業務は市民の様子を見ることではありません。市民の安否まで調べてもらうことも委託するのでしょうか。

  一部に、上水道事業において、民間化は世界的に問題となっている。小さな政府という考え方そのものが破綻を来しているという事例も見られることから、その実効性には強い疑問があるという意見があるということも忘れてはなりません。

  今回の予算では債務負担行為が設定されていて、4年間、4億8,400万円でほぼ一つの課を民間委託することになります。私には到底承知できないことです。一度完全に委託したものは、データを初めすべて移動してしまいます。戻すことはとても難しくなるでしょう。委託料も、競争入札が難しくなっていけば、安上がりになるかどうか、それはわかりません。

  それに、職員が異動してしまえば、委託先のモニターすら満足にいくかすら保障がありません。もし市民の命に別状があるようなことになったら、取り返しがつかないのです。

  何遍も言うようですが、料金課の業務委託は、改正でも改革でもありません。単に業務の丸投げに見えます。私は、このようなことに突き進んでいくため、本年の水道事業会計予算を執行する予算には反対いたします。