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1.障害者福祉(施設・自立支援協議会、就労支援など)
 
2.女性について(DV基本計画、 男女共同参画推進条例、審議会等女性比率)
3.美術・文化(購入計画、基金の運用)

20089月議会一般質問原稿(第一回目質問)

 

議長のお許しを頂きましたので、8番高橋ブラクソン久美子が一般質問いたします。

1.  障害者福祉について

障害者自立支援法が出来、着実に法律に則った仕組みが作られてきています。まだ新体系に移行していない部分はあっても、障害者の使い勝手が良いように整備されることを願っています。

 さて、先日ある人から狭山市の障害者居住系施設で、2人の人が相次いでなくなったという話を聞きました。一人は心臓発作をおこしトイレで倒れていた、もう一人は自殺でした。現在、精神病院の入院患者を社会に出そうという流れがあり、この場合もある病院を退院した年配者の3人のうち、相次いで2人が亡くなったのでした。

 この「内部告発」の事実を確かめるために県に電話で尋ねたところ、実際に2件死亡があったという事でした。ここでショックだったのは、ひとつは、狭山市はこの事実を知らなかったし、私がこれを県に問い合わせをしなければ、狭山市としても何のアクションも起こさなかっただろうという事、2つ目、県は障害者施設で死亡事故などがあっても狭山市民が係わらなかったならば、たとえ狭山市にある施設のことであろうと何の報告も狭山市にはしないのだという事でした。

 確かに施設を含めサービス提供者の認定は県の仕事であるので、狭山市には監査をする権限もなければ、調査をする役目もないかもしれません。しかし、狭山市内の障害者施設でこのような事があっても、何も知らないという狭山市の体制に私は大変疑問を持つものです。

そこでまず伺いますが、狭山市には障害者のサービス提供施設はいくつあり、何人の狭山市民がそれらのサービスを受けているのでしょうか。現状をお答えください。次に、狭山市は、それらの施設の実態について、どのような報告を誰から受けているのでしょうか。施設の中で何が起こっているかわからないというのは問題ではないでしょうか。其の点どう考えていますか。

障害者自立支援法の第77条では、「障害者の虐待の防止及び早期発見のための関係機関との連絡調整その他の障害者の権利の擁護のために必要な援助を与える事業を行う」とし、障害者自立支援法施行規則の中では、第65条の10において「訪問等の方法による障害者等、障害児の保護者または介護者に係わる状況の把握、必要な情報の提供および助言ならびに相談および指導、障害者等、情外字の保護者または介護者と市町村、指定障害福祉サービス事業者等、医療機関等との連絡調整、地域における障害福祉に関する関係者による連携及び支援の体制に関する協議を行うための会議の設置そのほかの障害者等、障害児の保護者または介護者に必要な支援をする」としています。

障害者は自分の考えを表現し、説明するのがうまく出来ない場合が多々あります。施設にいる障害者は特に介護者に依存する事で、尚、不平も不安も言い出しにくいのです。障害者が高齢になると帰る場所もなくなり、たとえ心理的に苦しい事があっても相談する身内すらいなくなります。この法律や施行規則はそんな状態での障害者の人権について心配をしているのだと思います。生命は人権中の人権です。

インターネットで調べると、すでに多くの市町村が、障害者のために地域自立支援協議会を設置しています。

今治市の協議会の組織を見てみますと、実際動きやすいように、個別ケア会議、専門部会、運営会議、定例会議、プロジェクト会議などさまざまな会議を持ち、個別な事例の相談解決をはじめ、障害者を支えるネットワークとして協議会の機能を充実させようとしています。

狭山市の施設で死亡事故などがあったとしたら、私は早速この協議会で取り上げて、問題が何だったかをはっきりさせて今後の介護の改善につなげるべきだと思うのです。ところが、まだ狭山市ではこの協議会が立ち上げられてもおらず、したがって今回の死亡事故があっても、今の所県に一本の電話を掛けただけとなっています。

狭山市はいつ、協議会を立ち上げ、障害者の権利の擁護のために必要な援助を行っていくのですか。施設に対しての透明性を高める事がサービスを受けている障害者の人権擁護になります。先の今治市では、個別の課題は随時支援策を検討し、障害別の専門部会では1,2ヶ月に1回は会議を持つとしています。そしてネットワークは今治市と、すべての相談支援事業者、サービス提供者、保健医療期間、教育関係、労働機関などとなっています。近くの東松山市ではすでに協議会を立ち上げ、障害児の保護者、障害者などや公募の市民をも会員に含めています。

今回の、ある施設での2ヶ月で2件も有った死亡、そして其のうちの1件は自殺だったということに関して思う事は、狭山市は、狭山市にある施設、サービス提供者とのきちんとした信頼関係が持てるように連携をきちんと図るべきであり、施設での障害者の実態をよく把握し、障害者の人権が守られるようにネットワーク体制を早く確立すべきであるという事です。県の情報を待っているという受身の姿勢では、障害者の人権は守りきれないのではないかと考えます。

 

障害者の就労・自立について

9月は「障害者雇用支援月間」です。厚生労働省は、事業主をはじめとして、広く国民一般に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、障害者の職業的自立を支援するため、障害者雇用支援月間を儲けました。障害者自立支援法の理念は、障害者も自立して社会の中で生きていこうという事です。身体障害者の場合、多くのバリアが取り除かれて、市役所をはじめ企業でも働いています。しかし、知的障害者、精神障害者などは、まだまだ社会就労に結びついてはいませんが、障害者への知識と理解があれば、これらの障害があっても必ず働ける人人がいると私は信じています。

 狭山市は幸いにも工場が多いし、大きな企業も立地しています。狭山市内においての障害者の雇用の状況をどう捉えていますか。商工会議所などや工業会などとひざを交えて、障害者雇用について話し合いを持った事があるのでしょうか。勿論、狭山市役所では障害者雇用率は満たしていると思いますが、知的障害者や精神障害者の雇用を民間に働きかけるときに、自ら雇用していないでは啓発もしにくいと思います。来年度に向けて障害者の雇用増進のためにどのような施策を考え、雇用を高めていく考えですか。1人でも2人でも雇用するための方策をお示しください。

 さて、狭山市も就労支援センターを設置し、少しづつ成果を上げ始めています。このセンターが障害者雇用の大きな力になるだろうと期待していますが、ひとつ問題なのはこの就労支援センターの立地です。障害者はほとんどが自動車免許を取れません。ですから、どこに行くのも公共交通機関を利用します。しかし、今のセンターは最寄の駅やバス停から歩いて30分以上掛かります。足の不自由な人にはもっと時間が掛かるし、暑い夏、寒い冬はセンターまで歩くのは大変です。また、冬場は人通りの少ない暗い道を一人で歩かせるのは、娘を持つ親としては心配なところです。

そういう意味で、このセンターを西口駅前に建設される公益施設の中の産業センターに入れていただけませんか。障害者就労支援センターでは、机を3つとファイルケースを置けるスペースあればよいといっています。就労支援センターで仕事を教える事はなく、相談業務や適性検査などが主体だそうで、実習は企業で行うのが主流だそうです。公益の施設の概要を見れば、地域職業相談所がこの中に入ることになっていますので、ハローワークと連携することも多い就労支援センターが産業センターに入るのは至極妥当だと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、就労支援の一環として、喫茶パステルの今後について伺います。聞くところによると狭山手をつなぐ親の会は、経営していたサピオ内の喫茶パステルの経営をやめる方針を臨時総会で決定し、市にその旨を伝えたそうです。喫茶パステルは10年にわたり、障害者を複数雇用しております。親の会の高齢化に伴い今後も経営を続ける事が困難になったという事ですが、障害者や有償ボランティアの方々のご協力によって賃金が安く抑えられている事、手作りをもっとうにして材料費の軽減に努めていることなどにより、今の所赤字経営ではありません。赤字になれば、この喫茶を閉めなければならなくなり、今雇っている障害者達の行き場を失ってしまうというので、必死になって経営を続けてきていたのです。

 狭山市内で3人もの知的障害者を雇ってくれるところはなかなかないし、この3人はパステルだからこそ立派に働くことが出来ているという事もあります。親の会がこの事業から手を引く事になっても、この今いる3人の障害者が路頭に迷ってはなりません。

狭山市はたった一人知的障害者を給食センターで臨時的に雇っているだけです。もっと採用してくださっても良いのにと思います。その意味でも、喫茶パステルで障害者の雇用を確保し、障害者の就労の場をなくさない事は大切な施策だと思うのです。狭山市は、親の会が手を引いたあとの喫茶パステルをどうしますか。私は、親の会にもう一年経営を続けてもらい、其の間にこの喫茶パステルを続けてくれる事業所を探す事を提案します。狭山市には大企業があります。特例子会社としてここを経営してもらう企業を見つける事は不可能でないかもしれません。指導員分の少し補助金をつけ、障害者の雇用を条件に指定管理者を見つけることも可能でしょう。

 狭山市にはいくつか障害者のための作業所があります。今後も障害者が増えていく現状では作業所は必要ですが、だからと言って、作業所を増やす事よりは、仕事場を増やす事のほうが大切なのではないかと私は考えています。私の提言についての狭山市の考えをお聞かせください。

 

2.  女性について

まず、DV法の改正によって、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本計画の作成が市町村の努力義務となりました。狭山市DV被害がなくなることがなく、DV被害者支援は確かに必要です。改正DV法では、第3条の2において、市町村は、当該市長さんが設置する適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするよう努めるものとすると言っています。しかし、実際は加害者の暴力的行為のために、DVの施策は狭山市規模の市が単独でするには、対応する職員にとっては恐怖を感じるときが多く、シェルターをはじめ、支援をひっそりと行うしかありません。そして、現在では、被害者支援施策はさまざま提言されていますが、先ほどから述べているように、一市で行うのは、加害者の実態を考えると危険すぎます。そこで提案ですが、ダイアプラン市四市が合同でプランを練り、それぞれの市でそれを支えあう事を考えてみると良いと思うのですが、いかがですか。その協力のもと、狭山市は配偶者から暴力を受けている被害者のための基本計画を早く作成してほしいのですが、お考えをおきかせください。

 

次に男女共同参画条例の制定の準備状況について伺います。勉強会もすでに開催していますが、今後の予定はどうなりますか。23年度までに間に合わせるためには、狭山市が市民を組織して、多くの市民が参画する「 男女共同参画推進条例制定市民会議」を作らなければならないと私は考えていますが、どのように市民とともに条例を考えていくのでしょうか。近隣の市を見るだけでなく、全国でも男女共同参画推進条例を作っている市が多いのです。男女が共同に参画して社会を形成していく事は、女性差別撤廃条約を批准した日本の世界への公約でもあります。また、少子高齢化が進む現在の日本の進むべき姿、狭山市の有るべき姿です。良い条例を作るには、戦略を練って多くの人人に参画してもらう事自体が条例制定の要件になると思いますので、それに付いての考えをお示しください。

 さて、決算の質疑において、女性職員の割合が全体の3割であり、女性幹部職員数もこの何年か減少の一途を辿っている事、新採用も女性の数は男性の半分にも満たない事が明らかになりました。他の市では、女性職員の割合を増やし、女性幹部の登用が進んできているというのに、狭山市はそれに逆行しているかのようです。この状況を改善できないのですか。わたしは、きちんとした女性政策を掲げ、男女が共同し参画して行く社会を築くことが、今を含め将来も望まれていると思います。そのために狭山市としては毅然と貢献していく事を宣言する事が条例を制定する意味だと解釈しています。少子高齢化、人口減少、労働の流動化という流れの中で、女性はセンシティブなので男女共同参画社会を積極的に推進しない市からの女性に注目する市への移動が確実にあるといわれていることを付け加えます。

毎年、聞いていますが、具体的なことをお聞きします。審議会などの女性の登用の状況はいかがでしょうか。数値目標は35%だったはずですが、現在は其の目標をクリアしているのでしょうか。

 

3.  美術文化について

図書館に行っても、博物館に行っても、いつも同じ絵が掛かっています。何年も同じ絵が掛かっていると、どんなに素晴らしいものでも、感動が薄れて見飽きてしまいます。博物館も図書館も掛けかえる美術品がないのです。有っても1,2枚を交互に掛けているという事です。狭山市役所もおなじです。役所は立ってから20年ですが、買って以来架け替えた事はないと思います。絵画の掃除は素人が出来るわけありません。時々額をそっと触って見ますが、埃がついています。また、ロビーの壁面を飾っている池田満寿夫さん作のタイルはきっと汚れているだろうと思いますが、掃除をしたくとも足場を組まなければならないでしょうから、大変です。

博物館のマイマイ広場にある版画を取り替えませんか。博物館に絵画かオブジェかを購入しませんか。図書館もそうです。市役所もそうです。芸術の秋がきます。狭山市にも素晴らしい絵を描いている人たちがいます。プロの芸術家もいるはずです。毎年何点か買い上げませんか。さもなければ、良いものをレンタルしませんか。

私は、昨年官邸を見学する機会をいただき、中を見せていただきました。まるで、美術館のようでした。日本の一流の芸術家の作品がさりげなくあちこちにおいてありました。副官房長官室には、毛呂山町の女性作家の千切り絵が掛かっており、これはレンタルしてあるのだという事でした。日展等の入選作はとても高価で買取が出来ないので、1年づつ借り上げているそうです。狭山市も同じように、市民の作品を1年といわず、何年かレンタルして飾ればよいと思います。どうですか。

私は、狭山市内にも多くの美術品を置くことを薦めます。街中美術館は街のグレードを上げます。文化の香りのする街づくりはいかがですか。市内を四地区に分けて、まず、入曽駅付近の区画整理地内の都市計画道路沿いに、素敵なベンチと美術品を並べる。狭山市駅では西口に何かがほしいし、銀行の入るところには、ショーウィンドーをミギャラリーのようにする。新狭山には新しく新狭山公民館と出張所を建設して、其の周辺に美術品を配置する。入間川の北部も水富公民館と隣にある地区の自治会館を移築し、図書館も併設した複合館を立ち上げ、其の周辺に美術品を配置する。夢があるでしょう。こういう街内に芸術の見られる場所を設けるという施策を考えたらどうでしょうか。

狭山市駅西口の建設は始まったし、入曽駅の計画もかなり本格化しています。新狭山地区や水富地区の複合館計画は少し待たなければならないかもしれませんが、それでもいつか計画化しようと思えばできない事ではありません。狭山市の街づくりは、建物優先だったり、公共施設優先だったりしがちですが、芸術品を街内に置き心豊かな街づくりを私は素晴らしいと思います。今まで多くの市を視察しました。尾道では道端に、瀬戸内海の町では海岸に沿って芸術品が展示されていて、目を見張りました。新潟市の古町通りは水島信司さんのキャラクターの銅像があり楽しくなりました。街を彩る美術文化施策を市長はどのようにお考えになりますか。

 

基金の利用

狭山市19千万円もの美術購入基金があります。何年も使わずにいます。ある篤志家が狭山市に美術品の購入のために寄付してくださったのだそうです。始めは15千万円だったといいますから、4千万円ほど利子などで積み立てられたのでしょう。お金は持っていても、誰も見て感動する事はできません。使う計画を立てるべきです。先ほどから言っている博物館や図書館に美術品を買いましょう。街内に芸術品を起きましょう。狭山市駅西口に出来る公益ビルにも、駅前広場にも芸術や文化の香りのするものがあってほしいです。一般財源とともに、基金を使い、美術品購入計画を立てるべきときがきています。いかがですか。市長のお考えを伺います。

 先ほどから狭山市駅西口について話をしています。西口整備は始まっていて、仮称ですが、西口文化推進計画を今から手をつけないと遅くなってしまいます。買い付けるにしろ、作ってもらうにしろ、1,2年はあっという間に掛かってしまいます。例えば、銀行は早くしまってしまい、駅前なのに寂しくなりがちですから、ショーウィンドーをギャラリーにする。そのためには、中に飾るものがいります。また、新しい2つの公益施設の内部壁面に美術品が是非必要です。ひとつはリトグラフのようなものを、ひとつは油絵のようなものをというような基本的な構想がほしいと思います。絵だけでなく、彫塑もほしいし、市民広場にも天の川をモチーフにした何かがほしい。あれもこれもと言っていると、統一感のないものになってしまいます。ですから、私は、早めに駅西口文化推進計画なようなものを作り上げなければならないと思うのです。そして、其の計画は西口駅開発事務所だけで作らせてはいけないと思っています。こんな大きなプロジェクトですから、教育委員会にも積極的に参加してもらい、市民の方の作品も視野に入れながら、計画推進実行委員会でも作り、半年ぐらいで計画を作り上げ、その後すぐに買い付けや注文に取り掛からなければならないのではないかと思うのです。これについても市長のお考えをお聞きします。

 

以上で私の一般質問の第1回目を終わりにします。