2004年6月議会一般質問原稿1回目

1.性に関して 2.市民サービス 3.平和事業 4.男女共同参画行動計画

2回目 3回目

議長のお許しをいただきましたので、8番高橋ブラクソン久美子が一般質問をいたします。

 

1.     性に関して

 

昨年の6月議会で、性同一性障害の方のために、不必要な性別の記載の訂正をお願いしました。昨年は、性同一性障害を持つ人のための戸籍法の特例もでき、一定の条件で戸籍上の性を変えることが可能になりました。国家的にこの障害者への暖かな取り組みが進んできてまいりました。昨年の私の性別に関する一般質問に際しては、前向きな答弁をいただきました。調べてみますと、不必要な性別記載を公文書などから除外しようという事で、条例改正をしたりして、他市でも積極的に取り組み始めたようです。世田谷区では300に上る書類を再検討し、170の書類で不必要な性別の記載を本年1月1日から除外しています。

狭山市では不必要な性別記載の取り扱いについて、昨年の11月25日の全員協議会で74の文書から削除すると説明がありました。今議会では印鑑条例の改正も行われます。この書類上の不必要な性別記載について改善の状況、これからの一層の改善についての計画がありましたら、お答えください。

 

さて、そのときに、学校の制服でつまずき、不登校なったり、自殺をしたりする性同一性障害の子供達のいる事もお話しました。ですから、制服の男子・女子をわける事をやめ、ジャケット、ズボン、スカートから選ばれるようにするように教育委員会が積極的に学校に働きかけてほしいとお願いしました。その後どのような状況でしょうか。それに対してどう考えておられますか。

 

 

性暴力・性虐待について

 

私がこの質問をするのは身近にこれらの被害の悲惨さを目の当たりにしているからです。3例ほど、申し上げます。

 

まず、男子のレイプ事件です。私の友達の息子のことでした。彼が12歳の頃、近くの男性からレイプされていたのですが、親に言う事ができなかったのです。彼は、20歳を過ぎ、ドイツ留学からの帰国の途中、タイで睾丸摘出する性適応手術を受け、戻ってきました。彼女が息子のレイプを知ったのは、息子が性適応手術を受けたあとのことでした。友人は、息子がレイプに会わなかったら、性についてのアイデンティティーについて悩むことがなかったのではないか、もしかして、性転換という事態にならなかったのではないかと考えています。息子の性転換は戻すことのできない決心です。そこで、彼女は何人かの息子のような人に尋ねたところ、そのうちの60%が小さいときに性暴力を受けていたという事です。

 

次の例は、また友人の事です。彼女は小学校4年から6年にかけて実父によって、性虐待を受けていました。6年生の時に自分の部屋に自分で鍵をつけ、父親の性虐待から逃れたというのです。彼女は、これがきっかけで、その後、手が動かなくなり精神科に行くのですが、近親姦についてタブーで、その頃は精神科の医者ですら事実を認めようとしませんでした。その後の彼女の人生は、男の人を受け入れられない事と、性虐待を思い出すとパニックになる症状から多くの困難にたち向かわなければなりませんでした。仕事も男性との接触の少ない自営業を営みました。いま、彼女は新しい仕事にチャレンジしています。けれど、突然起こる性虐待よるフラッシュバックというパニック状態のせいで、職域がとても狭められます。男性のいない世界はないからです。彼女は今もなお40年も前にうけた性虐待のトラウマから完全に回復してはいません。

 

最後の例は私の反省です。今から4年ほど前、ある男性教員が懲戒免職になりました。それにさかのぼる6年半から2年間、男性教諭が狭山市内の中学校で担任だった多数の16歳17歳の女子高校生に猥褻行為を行っていたのです。被害にあった女性たちが県教育委員会などに訴えたことにより、事実が発覚したのです。私はこの男性教諭が懲戒免職になった新聞報道を見たとき、彼とはその当時同僚であったことに愕然としました。被害女性たちは、県教育委員会に行き、事実を話し、男性教員の卑劣な行為に対しての責任を求めました。その間の6年半を思う時、この被害を受けた高校生達はどんなに苦しみ怒ったかと辛い思いで一杯です。親の立場になれば、自分の娘が担任だった教師にそのようなことをされれば、胸をかきむしるほどの憎悪を感じると思います。

私がこの3例から言いたいのは、性暴力や性虐待、強姦やセクハラ行為は、被害者の一生を左右するほどダメージを与えると言う事です。「されたって忘れてしまえば、ないことと同じだ」と言う人もいますが、されたほうは、自分の人格を引き裂かれるような事件で、忘れたくても忘れられないほど辛い被害なのです。これを思う時、私は、性被害にあった時、またはそれを知った時には迅速に警察や児童相談所、病院などの関連機関と手をつなぎ、被害者のために対応すべきだと思っています。特に親や義理の親、親戚などからの性虐待があると思った時は自宅に帰せば、また性虐待を受けかねません。すぐに保護が必要になると思います。

勇気を持って語る人が多くなり、性暴力の被害とその実態は徐々に明らかになりつつありますが、市長はこのような性暴力・性虐待についてどのような見解を持っていらっしゃいますか。どのように対処するべきだと考えておられますか。

同じく、教育長はこのような行為についてどのような見解を持っていらっしゃいますか。どのように対処するべきだと考えておられますか。

 

また、性暴力・性虐待に対し、狭山市ではこれまでどう取り組んできたのでしょうか。市役所の取り組み、学校での取り組みについてお話ください。

 

セクシャルハラスメント

 セクシャルハラスメントは性的嫌がらせとも訳されています。たとえば、対価型セクシャルハラスメントにおいては、性的要求に従わない女性を解雇したという例がしめされていますし、環境型セクシャルハラスメントでは「性的にふしだらである」などとうわさを流す事で仕事をしづらくするという例も厚生労働省は示しています。

 

厚生労働省の発表によりますと、男女雇用機会均等法の相談・指導状況をまとめたうち、全体の4割以上がセクシャルハラスメントについてであり、職場でも依然大きな問題になっているといいます。また、「セクハラ防止」対策を義務つける制度は知っていても、実際の対応はまだ追いついていない企業も多いということでした。

 

狭山市役所ではセクシャルハラスメントが問題にはなっていないし、啓発もしているとの事ですが、まず、セクシャルハラスメントについての市長の見解をお聞きしたいと思います。私は、市役所においてセクシャルハラスメント指針・規則を設け、国の指針に準じ、罰則そのほかまで規定し、セクハラ防止委員会などのシステムを構築し苦情がいいやすい環境を整備するべきであると思いますが、どのような対応を考えていらっしゃるか伺います。

 

同じように深刻な問題はスクールセクハラと言われる学校でのセクシャルハラスメントです。教師間の問題もあるでしょうが、教職員と生徒と言う問題では、力関係が一方的に教職員の側にあり、年齢の低い子供にとって、避けようがない辛い問題です。具体的な事例は申し上げませんが、セクシャルハラスメントや特にスクール・セクシャルハラスメントに対して、教育長はどのようなご見解でしょうか。

 

学校において、本年1月倫理確立委員会またはセクシャルハラスメント防止委員会が設立されたと聞いていますが、その趣旨は何でしょうか。どのような委員を持って構成し、どのように活動していくのでしょうか。私は、児童生徒が性的にいやなことをされた時に、親身になって聞き、子供のために方策を立てて上げられるような委員会であってほしいと願っています。教職員の問題について、教育委員会は教職員をかばいすぎるという世間では、言っております。各学校任せにしないで狭山市教育委員会はセクハラ防止指針を掲げ、迅速に対処するべきだと私は思っておりますが、どう考えておられますか。

 

性の問題の解決の根本は、性教育にあると思います。

 

性情報があらゆる手段で飛び交っており、ファンタジーと言えるものがあたかも真実であるかのように、売られています。その情報の多くは、男女の性がお互いを補完しあうように神様から与えられた素晴らしい贈り物だと言う視点を欠いていると思います。この現状を憂います。性は、売ったり、買ったり、一方的に他方を利用したり、傷つけて喜んだり、そういうものではいけないはずです。このたび調べたところ、性教育するときに、男女共同参画、すなわち両性を認め合うその視点に重点を置くという回答が少なかったのにはおどろきました。男性女性の体の仕組み、妊娠、出産という従来の性教育のほかに、男女のかかわりという視点で性教育のカリキュラムを構築していくべきだとおもうのですが、カリキュラムを組むに当たり、教育長の性教育の見解をお聞きしたいと思います。

 

2.     市民サービス

 

いくつか市民サービスの向上を目指して、一般質問をしてきましたが、今回もうかがいます。

 

1)     ごみの福祉的戸別収集の状況はいかがですか?地域の環境委員や民生委員などを通じたりして、もっと広報につとめてはいかがでしょうか。本当に必要な利用者に周知徹底を図っていただきたいのですが。

2)     老人福祉センター、サピオ、サンパーク奥富など市の施設は月曜休館が多いですが、市民の要望にこたえて、休館日を振り分けてはいかがでしょうか。特に、サピオ、サンパークなどの休館日を調整すれば、お風呂、プールなどの利用が市民にとって使いやすいものになると思いますが、いかがでしょうか。

3)     支所・センターなどで、土曜日、日曜日の証明書などの発行をしてはいかがでしょうか。特に住民基本カードの導入をしたのですから、機械による発行を準備してはいかがでしょうか。これは特に土曜、日曜だけで使用すると言うわけではありませんが。

4)     住基ネットの使用状況はどうですか?安全性について、長野県での実験などが報告されていますが、狭山市での状況はどうですか。

 

3.     平和都市宣言

 

アメリカが一方的にイラク戦争の終結を見たといっていますが、イラク国内の戦闘状態は今尚続いており、イラク情勢の混乱の報道を目の当たりにしております。先月は日本人が拉致され、やっと開放されほっとしたのですが、それを忘れる間もなく、今度2人の日本人ジャーナリストが殺されるというショッキングな状況になりました。私は、国連の議決も経ずして、アメリカがイラクへ侵入したことには、初めから反対をしていました。中東の平和のため、テロの撲滅のため、独裁者を追放するため、大量破壊兵器の危険をなくすため、などと多くの理由をつけて、アメリカはイラクに軍事力を行使したのですが、現実には大量破壊兵器は見つからず、アルカイーダとイラクとの接点も見つからず、中東の平和は一層脅かされているという皮肉な状態になっています。

 

戦争はいつの世の中でも、生活を脅かし、生命を奪います。イラクからの少ない情報でも、多くの市民が犠牲になったこと、生活の逼迫、病院での医療の困難さが伝わってきます。老若男女を問わず、殺されています。一方、進入したアメリカ人の戦死者がコンピューターで写真つきで発表されています。イラン人の死亡者に比べ桁外れに少ないのでしょうが、それでも750人を超える戦死者の大半が20歳台前半の若者達であります。私は、18歳だと言う若者の写真を見て、親はどんなに胸のつぶれる思いでいるだろうと、悲しみました。わたしにはアメリカにその年頃の甥も姪もいます。息子もいます。他人事でなく、辛い思いで戦争が終わる事を願っています。

 

先ほどから、申し上げているように、イラクの戦闘は日本人にとっても影響を与えています。もう戦闘は止めるべきです。そのために私達には何が出来るのでしょうか。すぐに効果はないと思うかもしれませんが、平和の願いを一層鮮明にすること、戦争は止めようと勇気を持って世界に向かって叫ぶことではないでしょうか。市政50周年に向けて、再度平和へのアピールをしてはどうかと思いますが、市長のご見解を伺いたいと思います。

また、狭山市平和都市宣言のなかで、あらゆる国の核兵器の廃絶を願っています。しかし、実際には、今イラクで使われている劣化ウラン弾はまさに核兵器そのものであります。劣化ウラン弾は、採掘したウラン鉱石のうち今まで廃棄されていたウラン238を使い、砲弾としたものです。ウラン238は比重が鉄の2.5倍と重く、弾芯に用いると頑丈な戦車でも貫通するといわれています。その際、衝撃で、熱を発生し、戦車内の兵士まで焼き殺してしまうという破壊力は大きいけれど、手軽に持ち運びのできる核兵器です。湾岸戦争では94万発が発射されたそうです。今回もその劣化ウラン弾がイラクだけでなく、アフガニスタンでも使われているとの報告も出ています。その影響は、イラク人アメリカ人にかかわらず被爆した人に出ています。白血病やがんが多発しているのです。私は、平和アピールとともに、この劣化ウラン弾の使用に毅然とした態度で反対を唱えるべきであるともいますが、市長の見解はいかがでしょうか?

 

 

平和都市宣言をしてからすでに15年が経とうとしています。この節目の年の事業は、過去の悲惨な戦争に目を向けるだけでなく、いまイラクで行われている紛争・戦争にも目をむけ、平和を望む大きな思い喚起するような事業にすべきであると考えます。どのような事業を考え、平和を作る努力をしていくのか伺います。

 

4.     男女共同参画行動計画

 

狭山市男女共同参画行動計画が作成されようとしています。そのために、予算も計上し、本年度中には完成し、来年度以降、実施しなければなりません。3月議会では作成に当たり市民の参加に努めると市長は議会で答弁したと思いますが、計画作成をどのようにしていくのでしょうか。

 

この行動計画の策定に関して、その前提として狭山市の実態調査を行ないましたが、その結果はどのようでしたか。どの点で狭山市の特徴が現れていると分析しましたか。

 

狭山市では男女共同参画推進条例がいまだ制定されていません。ですから、この行動計画は全市にわたる施策を男女共同参画の視点で行うための指針ともなります。これを踏まえ、計画内容は全庁的な広がりを持たざるを得ません。そのため、他の計画などとも綿密に共同協議が必要で、たとえば、セクシャルハラスメント防止規則、次世代育成支援行動計画などとの整合を高め、実際の成果がはっきりと分かる内容とすべきであると思います。それに対してどのような見解ですか?

 

内容の精査だけでなく、結果の評価項目もはっきりした計画にすべきです。その点どう考えますか。たとえば、ジェンダーフリー社会、あらゆる分野への平等参画、就労対策などでのポジティブアクションを明記すべきであるが、どのように考えていますか。

 

以上で一回目の質問を終わります。